こんにちは。そうるです。
せっかくの日曜日ですが、作業が残っているので私服で会社に来ています。
しかし全然やる気が出ない…明日はもう月曜日だし、早く終わらせて早く帰らなくちゃ、とは
思っているんですけどね…(笑)
さてこんな感じで昨日も会社に来ていたので、「通勤読書」は止まりません。
今回は、「11文字の殺人」@東野圭吾 です。
お母さんがミーハーで、東野圭吾の本ばかり「お勧め♪」とか言いながら突き付けてくるので、
暫く、本来のそうるの趣味からはずれた読書が続きそうです。
まあ、ちょっとばかし趣味じゃなくてなんとなく読んでいる方が、
客観的にもなれるし電車も降り過ごさないし、感想も書きやすいんですけれども。
さてそんなわけで、
「11文字の殺人」@東野圭吾
【あらすじ】
「気が小さいのさ」あたしが覚えている彼の最後の言葉だ。あたしの恋人が殺された。彼は最近「狙われている」と怯えていた。そして、彼の遺品の中から、大切な資料が盗まれた。女流推理作家のあたしは、編集者の冬子とともに真相を追う。しかし彼を接点に、次々と人が殺されて…。サスペンス溢れる本格推理力作。
【ひとこと抜き出すなら】
「女性問題では困らされることも多いけれど、いざという時に命賭けの仕事をできるバイタリティをあたしは愛したのだ」
【感想】
もともとあまりミステリとか推理小説のファンではないので、正直に言うとあまり好みではありませんでした。
登場人物が10人以上あれやこれやと出てきてしまうと、誰が誰なのかごちゃごちゃになってしまうという、私の読書力のなさ(だからミステリがあまり好きではない)が完全に裏目に出ました。
なんとかストーリーを追っていくだけで精一杯で、細部の趣向やアリバイのち密さをほとんど読み込むことができませんでした。でも、2読する気にもなれないので、このまま感想を書いてしまおうと思います。
まぁ、確かに結末は「あれ」と思わず手を止めたくらいには意外でしたが。
それより、私が唸ったのは、抜き出した一言です。
これは、犯人の動機に繋がる大事な一言なのですが、事件の内容とか動機とかはどうでもよく、この科白そのものにすごく力があるな、と。
だってこんな科白、女性の方が自分の仕事に自信とプライドを持って、相手の男性のことを、一人の人間とか異性とかだけではなく、「一人のビジネスマン」として対等に見ていないと言えない。
寧ろ、女性問題で困らされるなんて、「異性」とか「彼氏」として付き合うには完全にアウトであるはずなのに、その大きな問題をカバーできるくらい「愛すべきビジネスマン的バイタリティ」があるなんて。
よく、「仕事仲間は恋愛対象に見られない」という話を聞きます。どれだけ仕事人として一人前でかっこよくて頼りになっても、それと「性的魅力」や「生涯の伴侶としての魅力」は別モノだというわけで、その弁を支持する人が多いことは事実です。
でも現実に社内恋愛して結婚する人だって大勢いるわけで、恋愛可不可の線引きは人それぞれだし、どんな関係性のある相手だって、好きになってしまったら理屈なんて関係ない、ともよく言われる言葉ですが。
でもこの科白の主は、逆に社内恋愛しかできないんじゃないか、と思わせられます。
男として、パ―トナーとして失格でも、「仕事に命を賭けられるバイタリティ」を愛しているから構わないだなんて。
「好き」なら他は見えなくなってしまうものだとはいえ、「男として」より「社会人として」の愛が優先されるような愛し方なんてあるのだな、と目から鱗が落ちた気分です。
…自分に、そんな恋愛ができる気はさらさらありませんし、おそらく社会的にもマイノリティだとは思いますが。でも小説の中では、どんな嗜好だって描けます。
ストーリーそのものは好みでなくても、やはり東野さんは数をこなす職業小説家で、手持ちの世界の幅が広いんだな、と痛感し納得した次第です。
- - - ⇒ 同じ作家の別の本 の記事は此方
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「秘密」@東野圭吾