【あらすじ】(「BOOK」データベースより) 超高校級サーファーであり誰とでも寝る軽いやつと風評のある光秀。一方、まじめで成績優秀、校内随一の優等生の恵理。接点のほとんどない二人がある出来事をきっかけに性的な関係をもつようになる。それは互いの欲望を満たすだけの関わり、のはずだった。それぞれが内に抱える厳しい現実と悩み、それは体を重ねることで癒されていくのか。真摯に生きようとする18歳の心と体を描く青春長編小説。 |
【一言抜き出すなら】
言うつもりもないのに口から出たんなら、それこそ本心ってことじゃない
【感想】
村山さんの昔の小説って優しい。
懐かしい学生時代の恋愛を、それも登場人物たちにしてみれば等身大のどろどろでいやらしくて汚いお話を、けれどちょっと上から見下ろして、「綺麗な思い出」の一つになるように書いてる。ああ、大変なことがあったけれど、でもこの子たちは、トラウマになったりしないでまっすぐ進んでくだろうな、っていう感じ。
なので、「ダブルファンタジー」では大泣きしちゃったけど、(そしてそれから村山さんにはまっているわけだけれど)通勤の電車の中でも心穏やかに読める。どこがどうなっていくのかは勿論気になるし、あっ!!て思って昔を思い出すようなシーンもあるけれど、ちゃんと「懐かしい」として処理できる。
上に抜き出した、「言うつもりもないのに口から出たんなら、それこそ本心ってことじゃない」の一言も、今でもついついそうるがやらかしていまう、子供特有の部分で、直していかないといかないなって思う。
本心っていうのは誰もが持っている。
そしてそれを口から出すと、傷つくかもしれない人がいる。
でも伝えたい、どうしても分かってほしい時に、時と場所を選んで、できるだけ傷つかないように、相手がまっすぐ受け止められるように、最善のお膳立てをする努力を行なわないといけない。
それを怠ってしまった時。
何にも通じなくなってしまう。本音は本当の事だから、正しくていつでも許されるってわけじゃない。
(85点。もう一冊の姉妹本も読みたいな。)
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