最近のオススメ(記事へは左のリストからどうぞ)

2010/02/21

さまよう刃@東野圭吾

こんにちは、そうるです。
週末更新2冊目です。
…つい一つの記事を長く書いてしまう性質(タチ)なので、溜めるのはよくないなぁと痛感。

さて、今回はまたしてもこの人。


「さまよう刃」@東野圭吾



【あらすじ】(アマゾンより)
自分の子供が殺されたら、あなたは復讐しますか?
長峰重樹の娘、絵摩の死体が荒川の下流で発見される。犯人を告げる一本の密告電話が長峰の元に入った。それを聞いた長峰は半信半疑のまま、娘の復讐に動き出す――。遺族の復讐と少年犯罪をテーマにした問題作。

【ひとこと抜き出すなら】
どんな理由があろうとも、人殺しなんかしちゃいけない。それはわかっています。許されることじゃない。

【感想】
一気に読んでしまいました。
1人娘を殺されたお父さんが、もう奥さんも昔に死んでしまってて他に家族もいなくて、娘を殺した若者2人のうち1人を殺し、もう1人を探しに行く話です。
被害者でもあり加害者でもあるこのお父さんが主人公で、なんとしてでも「自分の手でかたきを討つ」の執念で変装し、隠れ、あてのない捜索をする話なのですが。
題材として今の日本の警察やメディアの姿勢やら少年法の意義なんてものが絡んできて、お父さんの行動が日本中の注目の的になってしまいます。
別にまわりがなんやらかんやら言っててもいいんです。小説の題材が犯罪の周囲のことにあるのなら、それをどれだけ丁寧に書いたっていい。
でも、メインはお父さんの気持ちです。抜き出した言葉の通り、殺人はだめだってわかってて、してはいけないことだって分かってて、でも殺さずに黙って何もしないなんて耐えられない遺族の気持ちと行動です。それは、すごく個人的なもので、勝手な気持ちで、ただ悲しくて悔しくて許せないから、殺したくて若者を追ってるって設定にしてほしかったな、というのが唯一の惜しいところです。
私の勝手な感想なのであれてすが、
「警察に任せられないから」「今の少年法が若者をしっかりと裁いてくれる、適量な罰を与えてくれるとは思えないから」だから、若者を追うんだとお父さんは作中で何度も言っています。
その科白に、違和感を感じてしまいました。

少年法で守られようが、罰が少なかろうが、それがこの国が定める「適量な罰」なのです。でもじゃあ、法律で死刑になるって分かり切ってたら、お父さんは黙って待ってたのでしうか。警察が若者を捕まえるまで、その日ひたすら楽しみにただ何もしないで待ってたでしょうか。
そうじゃないと思うんです。
結局、自分が自分の手でなにかしらの仕返しをしたくて、動き出すんじゃないかな、と思うんです。
それが、単独での仕返しか、警察に助力するかの違いになるだけで。
この登場人物のお父さんが、性格や境遇を考えても、ただ黙ってるだけなんてそぐわない。
だから、ひとことだけ。
少年法とか関係ない、死刑にならないとか関係なく、自分の手で殺したいってそう思うんです。と、
言ってほしかったなぁと思います。


…エゴでまみれた愛が、いちばんキレイだと思う私の偏見ですが。




- - - ⇒同じ作家の別の本
「11文字の殺人」@東野圭吾
「秘密」@東野圭吾

0 件のコメント:

コメントを投稿