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2010/06/18

「誰か -Somebody-」@宮部みゆき

さて、時間があるので、読んでしまった分を纏めて書いてしまいたいと思います。
結構1冊分書くのに時間が必要みたいで、読書スピードに追いつけなかったりします。
…オンタイムにいけない子です(笑)


「誰か –Somebody-」@宮部みゆき



【あらすじ】(アマゾンより)
今多コンツェルン広報室の杉村三郎は、事故死した同社の運転手・梶田信夫の娘たちの相談を受ける。亡き父について本を書きたいという彼女らの思いにほだされ、一見普通な梶田の人生をたどり始めた三郎の前に、意外な情景が広がり始める―。稀代のストーリーテラーが丁寧に紡ぎだした、心揺るがすミステリー。

【一言抜き出すなら】
「杉村さんみたいな恵まれた人に、私の気持ちが分かるはず無いわ!」

【感想】
 宮部みゆきって、この手の話が多いような気がする。あんまり言うほど数を読んだことがあるわけじゃないけど、普通の人が、何らかの事件に接触して、巻き込まれて、その後自分の意思で更に首を突っ込んで、ああだこうだと騒いで、最終的になんとか「解決」ないし「落着」する、その紆余曲折を語るストーリー。
 今回も例に漏れず、財閥の一人娘に婿養子に入った主人公は、頼まれた面倒事を嫌がらずに引受け、依頼人と一緒になってああでもないこうでもないと思案し、果てには依頼人の姉妹の心情を慮って情報を故意に隠蔽したりして、あくまで「優しい良い人」として行動する。
 主人公は別に善意からやっているだけで、施しているつもりも優位に立っているつもりもないのに、結局最後に、依頼人であった姉妹の一人から、抜き出した一言を言われてしまう。

 そんなつもりはなかったのに。
 「恵まれた」ことを誇示しているつもりはなかったのに。
 勘違い甚だしいと言葉を尽くそうとしても、現にお金に困っていない温かな家庭を持つ主人公にしてみれば、返す言葉なんてない。
 努力は報われないこともある。優しさは伝わらないこともある。
 
 頭では分かっているつもりだし、実際にそうなって悔しい想いをしたこともあるけれど、いざフィクションのご都合主義の中でそれをやられてしまうと、いたたまれない気持ちでいっぱいになる。
 
 まあ、だからこそ「はっ」とさせられる一言だったわけだけれど。
 


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