こんにちは。そうるです。
満を持して、最近一番泣いてしまった本の紹介です。
「ダブルファンタジー」@村山由佳
【あらすじ】(アマゾンより)
奈津・三十五歳、脚本家。尊敬する男に誘われ、家を飛び出す。“外の世界”に出て初めてわかった男の嘘、夫の支配欲、そして抑圧されていた自らの性欲の強さ―。もう後戻りはしない。女としてまだ間に合う間に、この先どれだけ身も心も燃やし尽くせる相手に出会えるだろう。何回、脳みそまで蕩けるセックスができるだろう。そのためなら―そのためだけにでも、誰を裏切ろうが、傷つけようがかまわない。「そのかわり、結果はすべて自分で引き受けてみせる」。
【一言抜き出すなら】
でかした!!
【感想】
泣きました。
セックスの描写は濃厚で、でも終始女性視点で、本人はどれだけの人と寝ようが全然悪いとは思っていなくて。
でも、夫を捨てて家を出奔するシーンで、主人公の奈津に感情移入して、泣きました。
もう夫への愛は冷めてて、情しか残ってなくて。でも夫で、自分のことを大切に思ってくれてて。
でも、愛が冷めて、女としても、脚本家としてもこの男と一緒にいたらだめだとしか思えなかったら、もう出ていくしかなくて。
どれだけでも奈津の方が悪くて、自分ばっかりで、夫に何かしらの裏切りの事実があるわけでもなんでもないのに、丁寧に描かれた奈津の心情にシンクロしてしまいました。
ちょっとでも自分の力で立とう、さらに上に行こう、って思ってる人。つまり全ての女の人は、奈津なんじゃないかと思う。
内助の功って言うけど、妻が夫を支えるっていうけど、そんなのは前時代的で、このご時世、2人とも立ちながらどれだけお互いに立ち支えられるかなんだから、女だって、「自分にはこの人じゃだめだ」って思ったら、自分の未来のためだけに出奔したくなって当然だと思う。
こういう風に夫を捨てたいわけじゃないけど、これくらいちゃんと、自分の未来を大切にして生きていきたいなぁって思う。
ついでに抜き出した「でかした!」って言うのは、
主人公の奈津が夫を捨てて家を飛びだして、その足で別の男(業界で名のある魅力的な男)と不倫したことを女友達に報告した時の、その女友達の反応。
けなすもんか、幻滅するものか、手を叩いて褒め称えなくてどうする。
だってそれは、奈津が「現状を失いたくない守り」ではなくて、「これからの自分のために最善だと思ったと」をちゃんと実行したってことなんだから。
余談ですが、【あらすじ】として紹介した文章も好きです。
「すべて自分で引き受けてみせる」って、どれだけ強い言葉だろう、って思う。
ここ最近のイチオシです。
あぁ、社会とか自立とかどろどろした恋愛に、感情移入できる年齢になってしまった。
2010/03/13
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