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2010/03/13

プリズム@貫井徳郎

こんにちは。そうるです。
さて、再びの貫井さんブームが来たようで、早速2冊目です。
今回は、「小説」という表現手法をとてつもなく魅力的に扱った作品だと思います。

こちら。

「プリズム」@貫井徳郎



【あらすじ】(アマゾンより)
小学校の女性教師が自宅で死体となって発見された。彼女の同僚が容疑者として浮かび上がり、事件は容易に解決を迎えるかと思われたが……。万華鏡の如く変化する事件の様相、幾重にも繰り返される推理の構築と崩壊。究極の推理ゲームの果てに広がる瞠目の地平とは?『慟哭』の作者が本格ミステリの極限に挑んで話題を呼んだ衝撃の問題作。

【一言抜き出すなら】
好きだった先生が殺された夜でも、ふだんと変わりなく眠くなるのが不思議だった。

【感想】
この本は、本当に推理「ゲーム」です。
推理することを楽しむ本。
推理することがメインすぎて、誰が犯人でもどうでもよくなってしまった本です。

主人公は、(一応)小学生の男の子。
担任の女の先生が死んでしまって、その事件の真相を確かめようとクラスメイトと探偵じみたことをするのですがそれはあくまで子供の好奇心の一部。個人的な怨恨や損得が絡んでいるわけではないから、子供たちは推理にのめりこみつつ、どこか事件に対しては冷めています。
それは、生死の概念が薄いことも相まって、時に酷薄な印象を与えます。
それが、抜き出した一文です。
愛していた人でも、殺したいほど憎んでいた人でもない、ただ「好きだった先生」が突然死んでしまって、「死」って理不尽なんだとはじめて実感した子供の、単純な夜。生死について考え込むことも、犯人を恨むこともない。

貫井さんの描く子供は、私の理想的な子供です。
社会に染まらず、自分の感情をすべての物差しとして動く子供。
それでいて、すべてにおいて諦めず、なんとかして希望の結果を表わそうと持てる全ての力を現実に費やす子供。

こんな風に生きられたら、と思います。
社会なんて、世間体なんて関係ないと。
私はこうしたいんだと、体を動かせるようになりたい。
自分に何ができてできないのか、できることを正確に把握し、その中で精いっぱいにもがきたい。


こどもでいたい。
誰だっけ、諦めるのが大人のすることだなんて、やけにかっこよくウンチクたれてたヤツ。




- - -⇒同じ作家の別の本
「失踪症候群」@貫井徳郎

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