【あらすじ】(「BOOK」データベースより) ネットで出会い、心を通わせた男と女。しかしふたりは、自分の性別を偽っていた―一度送ったメールは二度ともとにもどせない。やり直しがきかない、人生のように。石田衣良。リバース。リアルな性を超えた新しい恋のかたち。ありえないことじゃない。 |
【一言抜き出すなら】
友情に乾杯
【感想】
久しぶりの石田さんです。そうるが一番好きなのは「娼年」ですが、なんだかんだ石田さんの描く恋愛は、愛情とか劣情とかではなく綺麗な「恋」だな、という感じがするので、号泣したり投げ捨てたくなったりはせず、憧れの少女マンガみたいに読めます。「いいなーこんな恋!」って感じ。
さって、女の人と男の人がそれぞれ自分の性別を嘘ついてメル友になり、どんどん仲良くなって、どうしても直接会いたくなっちゃったどうしよう、という話です。
別に出会い系で知り合ったわけでもなんでもなく、あくまで「友人」としてメールをやり取りしているのだから性別にこだわるのはナンセンスなのかもしれない。でもどうしても、メールを書く時、送る時に相手を恋愛対象として見てしまっている自分がいる。
性別ってなんだろう、友情と愛情ってなんだろう。
そんな話です。自分の彼氏とか男友達とか別れた彼氏とか仲の良い女友達との、関係性と性差をちょっと考えてしまいました。そうるは、男女の友情は成立すると思うけれど、でもそれはやっぱり同性の友情とは別の形をしていると思います。
そんな中で、主人公の女性(男と偽ってメールしている人)が、別れた彼氏と乾杯するシーンがあります。「友情に乾杯」って。
終わった愛情は友情になる。同性との関係も友情になる。じゃあ、メールの先に居る人との関係はなんだろう。
性別にうだうだ悩んで、メールの先に居る人に抱く気持ちが何なのか真剣に悩んで、初心な恋に頭をフル回転させているくせに、その合間に元彼とは笑って待ち合わせして「友情に乾杯」できるんだから、今の東京の恋愛事情はぐちゃぐちゃだなぁって思う。それが、なんとなくリアルだと思うんだから尚更だ。
(85点。愛するより恋する方が難しいのかな、やっぱり。)
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