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2010/06/07

「ルームメイト」今邑 彩

こんにちは、そうるです。
お久しぶりです。読んでも書かない日が続いてましてご無沙汰です。

久しぶりに一気読みしました。
本を読んだ感想って、3日ぐらいしか覚えていられないリアルタイムなものだと思うので、しっかり書き残していきたいと思いつついつも坊主気味なのです。。。


「ルームメイト」@今邑彩


【あらすじ】(アマゾンより)
私は彼女の事を何も知らなかったのか…?大学へ通うために上京してきた春海は、京都からきた麗子と出逢う。お互いを干渉しない約束で始めた共同生活は快適だったが、麗子はやがて失踪、跡を追ううち、彼女の二重、三重生活を知る。彼女は名前、化粧、嗜好までも替えていた。茫然とする春海の前に既に死体となったルームメイトが…。

【ひとこと抜き出すなら】
わたしより、あの子の方が大切なのよ

【感想】
正直に言います。
多重人格モノがそうるは好きです。
一つの体の中に複数人が混在していて、強弱があってそれぞれの人格の人生がある。
それってどんな感覚なんだろう、ってとても思います。
一つの人格にとっては、普通の人生の長さと比べたらその人格が主導権を握っている
何分の一かしか(長さとしては)生きていないことになるけど、
それってしっかり一生分を生きてる感覚があるのだろうか、とか。

まあ、このお話の多重人格のトリックは最後の最後にドッキリさせるためのものなので
多くを書いてはいけないと思うのですが、
これまでに幾つか読んできた多重人格モノにはない、新しい一面を考えさせられた作品でした。

で、話を少し変えて。
恋をした時。
人は、自分より相手の方が大切だとさえ思うことができる。
その思いの強さが、度々恋愛を主軸とした物語で多く語られてきたと思うのですが。
多重人格者にとって、「自分の人格」と、「一つの肉体を分け合う他の人格者たち」は、同じ「自分」でもなければ、「他人」でもない。自分のエゴのためだけに犠牲にできる程「自分」でもなければ、無関心を装える「他人」でも無い。
でも、多重人格者の人格一つひとつだって恋をするし、全くの他人を好きになったりする。

そういう時に、多重人格者の「大切な人」ランキングはどういう風に番付けされるのだろう。

大切な人にランキングを付けることがどれだけナンセンスなことなのか、実生活でも作り話の中でも嫌という程思い知ってきたはずなのに、それでも恋をするとどんな人格の人でも、好きな人の1番でなければ我慢できなくなるらしいから。

「好きな人」のために「自分」をおざなりにすることができても、その自分と一つの肉体を分け合っている以上それは「別の人格の自分」をおざなりに扱うこととイコールになってしまう。


そうるは多重人格者じゃないし、想像するしかないから答えは出ないのだけれど。
人が一人じゃ寂しくて、耐えられなくて生みだしたのが別の人格であるなら、どうしたってやっぱり、他の人格は「自分」と同じくらい大切で、「自分」と同じくらいキライなんだろうと思う。


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