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2010/07/05

「迷宮遡行」@貫井徳郎

こんにちは、そうるです。
7月に入って丁度読む本がなくなったので、この週末は図書館に行ってきました。
けれどなかなか読みたい本がなくて(借りられていて)、地元の田舎と違って都会の図書館は争奪戦が激しい、とほとほと実感しました。
だって、文庫じゃなくてハードカバーでも、楽しみにしていた本(しかも全然新しくない)がなかったりしまして…
しかたなく、知ってる作家さんで、まあまあ外れなさそうなのを借りてきた次第です。(冒険心ゼロ)

というわけで。
「迷宮遡行」@貫井徳郎  (2000/10刊)


【あらすじ】(「BOOK」データベースより)
平凡な日常が裂ける―。突然、愛する妻・絢子が失踪した。置き手紙ひとつを残して。理由が分からない。失業中の迫水は、途切れそうな手がかりをたどり、妻の行方を追う。彼の前に立ちふさがる、暴力団組員。妻はどうして、姿を消したのか?いや、そもそも妻は何者だったのか?絡み合う糸が、闇の迷宮をかたちづくる。『烙印』をもとに書き下ろされた、本格ミステリーの最新傑作。

【一言抜き出すなら】
お前の我が儘は今に始まったことじゃない。この一件が片づいたら絶交してやるから安心しろ。

【感想】
我が儘だけじゃなくて、情けない上に他人任せで職も金もなんにも無い。
そんな主人公が、妻を取り戻すために死地に赴くと話した時の親友の一言。
どうしょうもない主人公だけど、それでも周りに見捨てられたわけじゃない。
この文句はかっこいいけれど、でも、できれば言いたくも言われたくもない微妙な一言。

お話の方は、上手くできているな、と思ったし最後まで続きが気になって仕方がなかったのだけれど、難を言うとすれば。
…主人公の魅力が無さすぎる。
失踪した奥さんのことがとても好きなのは認めるけれど、それ以外に何も持っていなさすぎ。お金も職も無いし、他力本願だし行動の全てが運を天に任せるような行き当たりばったり。

こんな性格があまりに情けなさ過ぎてお話に「作り話感」が増してしまい、入り込めませんでした。貫井さん自身はとても好きな作家なので、デビューに近い作とはいえ、ちょっと残念な感じです。

…80点。(贔屓点込み)



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