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2010/03/13

失踪症候群@貫井徳郎

お久しぶりです。そうるです。
またしても既読書をためこんでしまいしまた…

さて最近読み終わったのがこちら。

「失踪症候群」@貫井徳郎




【あらすじ】(アマゾンより)
「真梨子が緊急入院したのよ、自殺未遂かもしれないって…」 原田は呼んでも一向に応えない娘に強く語りかけた。何でこんなことを…。ミステリファン待望の長篇・第3作。

【ひとこと抜き出すなら】
親からは逃げられても、自分の人生から逃げることできません。

【感想】
貫井さんを読んだのは久しぶりです。
以前にも私の中でブームが来ていた時期があって多く読んだのですが、どれもこれもヘビーな内容なので、すべての既刊本を読破する前に疲れてしまった覚えがあります。

鬱やドラッグや、世間や親や学歴や学校や。今の日本に生きていれば誰もが必ず持ってる社会との軋轢を、どうしても過重に感じ、溺れ、このままでは埒が明かなくなってしまった人が貫井さんの話には多く登場します。
そんな人たちに半ば同調しつつ、このようにはなりたくないとも思いつつ、けれど充分に感情移入してしまいつつ読むのが、私にとっての貫井さんです。

さて今回は、互いの戸籍を取りかえることで社会からの開放を図った20歳前後の若者たちと、別件の事件が絡んで不思議な話を作り出しています。
別件の事件は解決するのですが、多くの戸籍を取り替えてしまった人たちを目にして、主人公の警官は上記のような科白で締めくくります。

はっと、同世代の私としては身につまされる思いがした科白です。
家族や、学校や、塾なんてものはともすれば自分で選んだものではないかもしれない。親に与えられたものや、最初から身の周りにあったものかもしれない。それらからストレスを与えられ、自分が自分らしくいられないことは確かに理不尽と感じるだろうし、捨てたいとも思うだろう。
けどそうして捨てた後の(戸籍を取り替えた後の)人生は、今度こそ自分で引き受けるしかない。
どのような職に就こうと、どんな上司がいようと誰と結婚しようとどんな子供が生まれようと、それは自分が取捨選択して歩いてきた道で、思い通りにいかなかったからってまた簡単に「取り替える」わけになんていかない。

社会人1年目として、これまでのしがらみとか親とかほとんど関係なく、自分の力でなんとか自立ってもんをしていかないといけないんだとそろそろ実感して不安になったりもしているこのごろ。

「自分の人生からは逃げられない」という一言は、あまりに当然すぎる一言とはいえ、誰も私を肩代わりしたり、別の自分を差し出してくれたりするわけではないのだと思い知った次第です。

…だから、やれるだけのことをやらなきゃいけないんだよね。

 

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