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2012/06/11

「不夜城」@馳星周

「不夜城」@馳星周 (1998/04刊)
【あらすじ】(「BOOK」データベース より)
新宿・アンダーグラウンドを克明に描いた気鋭のデビュー作!おれは誰も信じない。女も、同胞も、親さえも…。バンコク・マニラ、香港、そして新宿―。アジアの大歓楽街に成長した歌舞伎町で、迎合と裏切りを繰り返す男と女。見えない派閥と差別のなかで、アンダーグラウンドでしか生きられない人間たちを綴った衝撃のクライム・ノベル。
第18回(1997年) 吉川英治文学新人賞受賞


【一言抜き出すなら】
影は、初恋の相手にプレゼントを渡そうとしている女の子のように、胸の前でしっかりと銃を構えていた。

【感想】
歌舞伎町は、日本の中にある日本じゃない場所。日本の法律も、人間の道徳も通じないサバンナである、というような記述がどこかこの本の中にありました。
こんな分厚い小説を読むような一般的な日本人じゃ絶対に全く触れないような台湾や上海や北京のヤバイヤツラの抗争を書いたお話しです。
そういった命の危険とか、身内の裏切りとかいったものに常に囲まれて生きている主人公(男)が、彼独特の考え方で生き延びようとし、女の人を愛そうとし、そしてお金を儲けようとする話。

堅気では絶対に無い話。でも、これくらい念には念を入れて、自分はどこかでドジを踏んでいるのではないかと繰り返し計画を練り直し、誰が信頼できるのかを客観的に考える。

そんなことが、今よりもう少しできるようになりたいとも思いました。

無条件に人を信じられる人生のほうが、幸せには間違いないんだろうけれど。
 

 
(82点.私の中で、アジアを書かせたらNo1なのはこの馳さんです)


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